私が最後にリサーチ目的でマレーシアを訪れたのは、2012年12月のことだった(https://itunalily.hatenablog.com/entry/20121225)。
主人がペナンの宿泊地に豪華なスウィートルームを予約してくれ、私一人では到底、部屋が余って仕方がなかった。だが、ここで私は、ようやく英領植民地時代のペナンでのキリスト教宣教師達の墓地を探し当てた。また、著名な英国風教会も見学することができた。
その後、飛行機で首都圏へ飛んだが、Rev. Wong Kim Kongが代表を務めていたNECFのオフィスへは立ち寄る時間もなく、毎日、限られた滞在期間をフルに行使して、あちこち回っていた。
あの頃は、父も終末期に差し掛かっていて、いつ何時、何が起こるかわからない時期だったので、余計に、(今しかない!)と思い詰めていた。主人の方も、「できるうちに、できることは何でもしておいたらいいよ」と、一見寛大だが、切羽詰まった健康状態でもあった。
Rev. Wong Kim Kongについては、個人的に頻繁にお話をしたわけではなかった。1999年か2000年の頃、一度だけ、リサーチの目的を問う英語での10分程の面談があったのみである。
そこで私は、もともと1990年4月から政府の仕事でマラヤ大学で3年間教えていたこと、その間にリサーチに繋がる疑問点に気づいたこと、その後、マラヤ大学博士課程に入学が許されたことなどを包み隠さず話した。
(この博士課程は、必ずしもマレーシアに滞在する必要がなく、年に一度、更新手続きに訪マするのみでよかった。しかも、所属期間は最大10年であった。私がここに所属を決めたのは、日本に全く一次資料がなかったこと、指導教授が日本で見つからなかったこと、この種の調査は時間がかかるだろうと見込んだことによる。)そして、指導教授からの公式書簡(レター)を見せて、是非とも必要な文献資料を教えていただきたい、とお願いした。
すると、Wong Kim Kong師の秘書だった福建系女性のMs. Lim Siew Foongを紹介され、センシティブだと言われていた(今も未解決のまま)諸問題についてのリサーチ許可が与えられた。彼女は私とほぼ同い年で、なかなか有能だった。何年かはメールでもよくやり取りがあったが、しばらくしてNECFを辞めて、手話の仕事に移って行った。それからは、あまり連絡が取れなくなってしまった。
久しぶりに思い出したNECFだが、あれから私にもいろいろなことが起こり、苦労して集めた資料は、洋間にファイリングとして積み上がったままである。勿論、口頭発表は2018年3月まで毎年のように続けて来たが、話が単純な割に堂々巡りを繰り返しており、解決には程遠い。だから、このまま一生これで終わりたくない、という気持ちが強かった。ここ数年になってようやく、日本でもこの種の問題が一般国民の間に周知されるようになってきたが、何事であれ、先鞭をつけるとは、非常に犠牲を伴うものである。
そして、一昨日、フェイスブックでWong Kim Kong(黃錦光)牧師の訃報に接した。
不思議なことではあるが、長らく音信不通だったリサーチ協力者の訃報を私が知るのは、ほぼ間違いなくフェイスブックである。何もしていないのに、ふわぁっと浮上してくるのだ。
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(https://www.facebook.com/kimkong.wong/videos/482016977985135)
Dear Family and Friends,
With deep sorrow, Rev. Wong Kim Kong was called home to be with the Lord on 4th September 2024.
Details of the memorial services are shared below.
Facebook Live will be available on this page during the Wake services.
With love, family of Rev. Wong
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詳細は不明であるが、1951年生まれのWong Kim Kong(黃錦光)牧師の葬儀は、ビデオでライブ放映されたようである。こういう点、日本よりもマレーシアの方が遥かにデジタルツールの活用が上手である。
センシティブだと言われたマレーシアのリサーチは、日本の学会で発表を続けてきても、インテリだと自称するような人々によって傍流に置かれたり、平然と無視されたりして、なかなか厄介であった。
だが、マレーシアに行ったこともない主人がいつでも応援し、物心両面で助けてくれていた。尤も、いつまでもこんなことで人生を潰すつもりはなかった。このようにして、いつの間にか、いろいろと貴重な情報や資料を手渡してくれたマレーシアのリサーチ関係者が物故していく。その前に、是非とも論文として完成させたかったのだが、如何せん、こちらののっぴきならない事情もあり、なかなか思うようにはいかなかったことは返す返すも残念である。
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過去の英語ブログに掲載したWong Kim Kong(黃錦光)牧師のコメント抜粋を。
(https://itunalily2.hatenablog.com/search?q=”Wong+Kim+Kong”)
(https://itunalily2.hatenablog.com/entry/20170927)
2017-09-27 “Show proof”
《Christians For Peace and Harmony in Malaysia president Reverend Wong Kim Kong noted that Malaysia was “very sensitive” in the multiracial and multi-religious context.He said there should be more religious acceptance when it came to religious practices.》
(https://itunalily2.hatenablog.com/entry/20110724)
2011-07-24 “Christians in Malaysia”
《This weekend, former NECF secretary-general Rev Wong Kim Kong is giving a talk titled “Christian response in the midst of political confusion and uncertainty”.》
(https://itunalily2.hatenablog.com/entry/20080304)
2008-03-04 “Church and Elections in M’sia”
《”I would say that the feel of subtle, backdoor Islamisation of the national life is a major concern,” said Wong Kim Kong, Secretary-General of the National Evangelical Christian Fellowship Malaysia.
Although there is no official policy to discriminate against any religious minorities, the government has been unable or unwilling to deal with violations, he said.》
(https://itunalily2.hatenablog.com/entry/20080130)
2008-01-30 “News on demolished church”
《The Rev. Wong Kim Kong, secretary-general of the National Evangelical Christian Fellowship, responded by writing two separate letters to local authorities, citing the villagers’ constitutional right to construct the church building under Section 2, 6(1) and 7(1) of the Orang Asli Act 1954.
Despite these protests, local authorities tore down the church building last June 4.》
(https://itunalily2.hatenablog.com/entry/20071231
2007-12-31 ““Herald” issue was resolved”
《National Evangelical Christian Fellowship secretary-general Wong Kim Kong welcomed the Government’s approval of the permit.》
(https://itunalily2.hatenablog.com/entry/20071206
2007-12-06 “Issues of Christian identity”
《The NECF chief has this to say about the many errors in the MyKad. Rev Wong Kim Kong had said the situation was serious, as he had recorded a 25% error rate in the samplings he had carried out on church members around the country.》
(リスト終)
(2024年9月7日記)(2024年9月8日修正)